世界遺産登録数ナンバーワンのイタリアに、51番目の世界遺産が今年登録されました。

『アラブ・ノルマン様式のパレルモと、チェファル、モンレアーレの大聖堂』

PALERMO ARABO-NORMANNA E LE CATTEDRALI DI CEFALU’ E MONREALE

アラブ・ノルマン時代の栄華の跡が今も残るパレルモは、シチリア北部に位置し、ノルマン王国のシチリア統治時代(1130年~1194年)に遡る、教会や建造物9か所が世界遺産に登録されました。パレルモ市内では2つの宮殿、3つの教会、大聖堂、橋。そしてパレルモ県内のチェファルの大聖堂、モンレアーレにある大聖堂の9か所です。そのどれもがシチリアにおいて、西洋とイスラム・ビザンチン文化圏の異なる社会・文化要素が重なり合い見事に融合した見本であり、全く新しい空間、構造、装飾様式が誕生し発達したのです。また9つの建造物は、その当時、異なる宗教をもつ異民族(イスラム、ビザンチン、ラテン、ユダヤ、ロンゴバルド、フランス)が共存を果たし繁栄したことをも証明しています。  ユネスコサイト: http://whc.unesco.org/en/list/1487

小)パレルモ・パラティーナ礼拝堂内部④右のモザイク入り ©イタリア政府観光局

パレルモ市内 Palermo:

1) ノルマン王宮とパラティーナ礼拝堂 Palazzo dei Normanni e Cappella Palatina

歴史・芸術的にパレルモで最も重要なモニュメント。9世紀にアラブ人が建築した城を、12世紀にノルマン王達が拡大強化して、要塞であり荘厳な王宮とし、フェデリコ2世の統治時代には、この王宮は国の政治・経済だけでなく、ヨーロッパの文明の中心となりました。16-17世紀に建物は建物され、王宮には現在シチリア州議会がおかれています。王宮内で今もノルマン王朝の後が残っているのはルッジェーロ2世の間やパラティーナ礼拝堂。王宮の2階にあり、1130年頃ノルマン王ルッジェーロ2により建設が始まったパラティーナ礼拝堂はキリストをはじめ聖書の様々な場面が描かれたまばゆいばかりの黄金のモザイクで装飾されています。また、アラブ・ビザンチン風の幾何学模様のモザイク装飾の床、鍾乳石模様の木製天井の装飾は、ノルマン時代にもシチリアで活発に働いていたイスラム文化の職人の手によるもの。各文明が融合した、歴史的・芸術的に大変興味深い場所です。

 

小)パレルモ・サンジョヴァンニ・デリ・エリミティ教会©Fototeca ENIT2)サン・ジョヴァンニ・デリ・エレミティ教会 Chiesa di San Giovanni degli Eremiti

ノルマン王ルッジェーロ2世統治下の1136年に修道院跡に建てられたパレルモのシンボルともいえる記念的建造物。四角の立方体のような本体部分の上に赤い丸屋根という形式はイスラム風のもの。アラブ風貯水槽を囲むように造られた小回廊は、ノルマン人支配後期のもので、美しく調和した2本の柱が支える小アーチが整然と並び、南国情緒が漂っています。

 

3)サンタ・マリア・デッランミラリオ教会(マルトラーナ教会)

Chiesa di Santa Maria dell’Ammiraglio Chiesa  della Martorana  
この教会は1143年ノルマン王ルッジェーロ2世の海軍大将ジョルジョ・ディ・アンティオキアが建てたもので、彼の役職にちなんだ名がついています(アンミラリオは海軍大将の意)。実際はE.マルトラーナが設立したベネディクト会の手に1433年移り、マルトラーナ教会とも呼ばれています。現在外観でノルマン王朝時代のものは鐘楼などだけですが、内部を飾る燦然と輝く美しいビザンチン様式のモザイクには、キリストにより戴冠されるルッジェーロ2世や、聖母マリアの足元にいる海軍大将などが描かれています。
4)サン・カタルド教会  Chieda di San Cataldo小)サン・カタルド教会とマルトラーナ教会外観

ノルマン王グリエルモ1世の12世紀後半に建設され、19世末に大幅に修復されましたが、上部には赤い半球のクーポラや、窓付きのはめ込みアーチのある側面の壁など、ノルマン風の特徴がみられる教会として簡素な形態ながら重要な建築。

隣には、マルトラーナ教会が並んで建っています。

 

小)パレルモカッテドラーレ(大聖堂)©Fototeca ENIT 5)パレルモ大聖堂 (カッテドラーレ)  Cattedrale

7世紀の教会が、アラブ支配時代に回教寺院となり、そしてノルマン王により再びキリスト教の手に返され、現存の建物は12世紀グリエルモ2世の時代に創建されたもの。14~16世紀にかけて手が加えられましたが、大聖堂は創建当初からずっとパレルモとシチリアの歴史の舞台となっていました。内部には各時代の皇帝や王の霊廟もあります。

6)ジーザ宮殿 The Castello della Zisa

アラビア語で素晴らしいを意味するAzizから宮殿名は由来しました。ノルマン王グリエルモ1世が王の別邸として創建した、イスラム建築の宝石ともいえる館。

7)アンミラリオ橋 Ponte dell’Ammiraglio

ルッジェーロ2世の海軍大将ジョルジョ・ディ・アンティオキアにより1130~1140年に造られた橋。ノルマン統治時代に、シチリアが到達した高い技術的・文化的レベルを示す橋です。下を流れていたオレート川の流れが変えられたため現在は部分的に埋め立てられています。

 

 

チェファル Cefalu’ (パレルモの東68km)Cefalu' - Cattedrale

8) 大聖堂Duomo

チェファルは海に面する岩山の斜面や麓に広がる街。ルッジェーロ2世が嵐の海で助かったことを聖母に感謝するため、1131年に建設が開始された大聖堂は、ノルマン時代の最も壮大なモニュメントのひとつで、中断と再開を繰り返しながら建設は長い期間に渡りました。13世紀制作のファサード、内部中央後陣の威厳に満ちた「全能の神キリスト」をはじめとしたビザンチン時代のモザイク装飾、内陣のバロック様式の装飾、A・ガジーニによるフレスコ画「聖母子像」などは、芸術的価値の高いものです。

 

小)モンレアーレ ドゥオーモ中庭 ©Fototeca ENITMonreale:モンレアーレ (パレルモの南西7km)

9) 大聖堂 Duomo

パレルモのある「コンカ・ドーロ(黄金の盆地)」を見下ろす丘にある街モンレアーレの大聖堂ドゥオーモは、1172年から1176年にかけてノルマン王グリエルモ2世の命により建設されました。外観は、正面の頑強な2基の鐘楼塔、そして3つのアプシス(後陣部)壁面のイスラム職人が参加したことが分かる多色象眼細工の見事な装飾が印象的。 内部の壁面全体は、素晴らしいビザンチン様式のモザイク装飾でおおわれており、中央内陣に描かれた巨大な『全能のキリスト』を中心に、旧・新約聖書の一連の物語やエピソードが描かれています。

教会外部右側には芸術的にも素晴らしい回廊Chiostroが建設当時のままの形態で残っています。回廊は完全な正方形で、モザイクや象眼装飾が施された対になった小円柱が美しい連続性で並び、さらにアーチで囲まれた小さな噴水など、東方の楽園の庭を思わせる魅力的な雰囲気を醸し出しています。