2021.11.12

«その先のダンテ… 「神曲」煉獄篇~パレルモ≫

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「ラケシスの糸が尽きたとき、魂は、肉体を脱する。
しかし、記憶、知力、意力は消えることなく、より俊敏な活動を開始する」
(「神曲」煉獄篇 第25歌)

「ラケシス」の糸、とは:
ギリシャ神話からくる、運命の三女神、クロト、ラケシス、アトロポス。
クロトは人間の命の糸を糸巻きに割り当てる、ラケシスは昼夜糸を紡ぎ、糸(命)を断つのがアトロポス。

スタティウスにより、語られる哲学的な要素で、「人類の原初」という概念など、とても深い部分が語られています。
この部分では、中世ヨーロッパの知への覚醒、そして知的世界を垣間見ることができます。
その背景にあるのは、スコラ哲学の影響です。
スコラ哲学は、11世紀ごろにヨーロッパで発達した西方教会のキリスト教神学者や哲学者により確立された学問であり、イタリアでの中心はシチリアのパレルモでした。(実際に「パレルモ」という街が現れるのは、天国篇 第8歌)

パレルモは、アラブ文化とノルマン文化が混ざり合う、独特の街並みを観ることができ、主要スポットが世界遺産に登録されています。

パラティーナ礼拝堂 / Palermo Cappella Palatina(アラブ文化との融合)

アラブ文化の痕跡(内部はキリスト教教会)

サン・カタルド教会に隣り合う、マルトラーナ教会

イタリアでの中心的人物であり、スコラ哲学を「神学大全」により大成したトマス・アクィナス(イタリア語名:トッマーゾ・ダクゥイーノ)も、天国篇第10歌に記されています。

パレルモ大聖堂、正式名はサンタ・ヴェルジネ・マリア・アッスンタ大聖堂は、パレルモの街の中心にあり、フェニキア人、ローマ人、ビザンツ人、そしてアラブ人が信仰の中心にしてきたパレルモの中で最も古い聖域です。

中世期、権力を握ったノルマン人は、イスラム教のモスクをキリスト教会へ置き換えましたが、1184年、パレルモ大司教により壊され、再度、宗教的な権力の象徴として新しい教会が建てられたのです。
その後も数世紀に渡り、元の建物には増築あるいは修復されていきました。
その結果、異なる様式が混ざり合い、偉大にハーモニーを作り上げることとなりました。
そして世界遺産となったアラブ・ノルマン建築のひとつでもあります。

≪補足≫
パレルモの旅は、荘厳な建築物の数々を見るだけでなく、音楽も聴いて楽しめます。

代表的な場所が、マッシモ劇場です。

1897年に完成した劇場は、実に30年の年月をかけて建設されたもの。映画にもたびたび登場するこのスポットは、芸術的な観点からも楽しむことができます。

≪協力≫
シチリア州観光局
https://www.visitsicily.info/en/
IG : https://www.instagram.com/ig_visitsicily/

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