2021.11.26

«スピンオフ… 「神曲」天国篇シラクーサ≫

わずかな火花から大きな熱が生まれることもある。

天国篇 第1歌

天国篇の第1歌で触れられる世界は、多くが古代ギリシャ神話とリンクするものです。
熱、太陽、神をはじめとして、様々な重要なキーワードがちりばめられています。

Close-up of the fountain of goddess Diana, Archimede square (1907 by Giulio Moschetti) in downtown of Ortigia, Syracuse, Sicily island, Italy

古代ギリシャ神話は、現在のギリシャだけでなく、当時ギリシャの一部であったシチリアもその舞台になっていました。代表的な街が、シラクーサとアグリジェントです。

古代ギリシャ哲学者であったエンぺドクレス(シチリア州アグリジェント出身。「神曲」ではキリスト教以前の出生であったことから、地獄篇第4歌に登場)。


アグリジェント・コンコルディア神殿   ジュノーネ(ヘラ)神殿②

シチリアが関わるギリシャ神話には、「イカルス(イカロス)」、「アレトゥーザ」の2つがあります。

一つ目の「イカルス」には、「イカルス(イカロス)の翼」の話が残っています。
職人で発明家であったダイダロスと息子のイカルスは、閉じ込められた塔から逃げるため、蠟で固めた翼を作り、飛翔します。しかしながら、イカルスは太陽に近づきすぎたことで蝋の翼が溶けてしまい、墜落してしまいます。落ちた場所が、今のイオニア海付近であり(名前がイカルスにちなんでいると言われている)、ダイダロスがたどりついた場所は、シチリアであったと言われています。

そしてもう一つが、「アレトゥーザ」、舞台はシラクーサです。

写真はシラクーサの中心部、オルティージャ島突端に位置するマニアーチェ城(1232年から1240年の間に建設されたもの)

Aerial view of Maniace fortress in Syracuse Sicily

シラクーサの大聖堂
かつての古代ギリシャのミネルヴァ神殿。7世紀にキリスト教教会へ。
教会の一部には、当時のギリシャ神殿の柱が残されています。

シラクーサの中心には、「アレトゥーザの泉(Fonte di Aretusa)」と呼ばれる場所があります。
ここは、ギリシャ神話のアレトゥーザにまつわる泉。狩猟と貞潔の女神アルテミスに仕えていた妖精アレトゥーザは、ある日、川の神アルペイオスに目を付けられアピールされます。
しかしながら、純潔を守りたいアレトゥーザは、女神にお願いし、泉に姿を変えてしまった、と言われています。


アレトゥーザの泉

このシラクーサに残る泉は、周りが海にも関わらず、ここからは真水が湧きだしていて、パピルスが自生する可愛らしい泉です。

また実際に、古代ギリシャであったときの遺跡も多く残り、世界遺産に登録されています。

ディオニシオスの耳
アルキメデスの墓
Grotta del Cordari(コルダーリの洞窟…古代遺跡のギリシャ劇場では毎年、この場所を舞台にした古代ギリシャの古典劇が上演される。

また古代ギリシャの一部だったシラクーサにいた、暴君ディオニシオスについても、地獄篇第12歌に登場します。
そのデイオニシオスの名前が残る場所が、今もシラクーサにはあります。

古代エリアに残るのは古い石切場、街の建設資材として使用された白い石は、ここから切り出されました。
「ディオニシオスの耳(Orecchio di Dionisio)」と呼ばれる採掘場は、ギリシャ劇場の東側にある最も大きい「天国の採掘場(Latomia del Paradiso)」の内部にある採掘場です。

伝説によると、暴君ディオニシオスは、洞窟に囚人たちを閉じ込め、この空間が作り出す音響効果により、彼らの会話を聞くことができた、と言われています。
確かに、伝説かもしれませんが、実際にこの場所の広い空間では、小さな話し声も反響してよく聞こえるのです。

≪情報・協力≫
シチリア州観光局

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